築30年以上の家の雨漏り。写真診断13件のうち12件で「軒天」が出てきた
著者:株式会社ドローン工務店
築30年を超えた家の雨漏りは「屋根が古いから」で片づけられがちです。ただ、当社の写真AI診断に届いた写真を築年数で分けてみると、傷んでいる場所にはっきりした偏りがありました。
先に結論を書きます。築年数を「30年以上」と答えた13件のうち、12件で被害箇所に**軒天(のきてん)**が入っていました。屋根が10件、外壁は1件だけです。軒天は屋根の裏側にある板で、家の外から見上げれば誰でも見える場所です。
築30年以上の家では、どこが傷んでいましたか?
結論: 13件中12件で軒天、10件で屋根。外壁は1件だけでした。
| 被害箇所 | 13件のうち |
|---|---|
| 軒天 | 12件 |
| 屋根・屋根裏・屋根下地 | 10件 |
| 外壁 | 1件 |
集計対象は、2026年3月21日から6月10日までに写真AI診断が完了し、築年数の欄に「30年以上」と答えた13件です。13件はそれぞれ別の連絡先・別の写真で、同じ家の重複ではありません。
AIが書いた所見も似た形をしています。「天井に雨染み、屋根裏木部に湿跡、軒天塗膜剥離を確認」「屋根板金の継ぎ目と軒天裏に雨染み。漏水痕が複数あり進行性」「軒天の欠損と室内壁の染み・膨れを確認」。天井のしみと軒天の剥がれがセットで写っている写真が多い、ということです。
比較として、築年数を「20〜30年」と答えた4件では軒天が2件でした。件数が少ないので傾向とまでは言えませんが、少なくとも今回の13件では軒天が例外なく近い頻度で出ています。
なぜ古い家は軒天に出るのですか?
結論: 軒天は屋根と外壁の境目の裏側にあり、屋根の内部に入った水が室内より先に集まる場所だからです。軒天のしみは「屋根の中でもう水が回っている」サインとして読めます。
軒天は、屋根が外壁より外に張り出した部分(軒)の裏側に貼ってある板です。ケイカル板や合板に塗装した仕上げが多く、防水材ではありません。雨に直接打たれない代わりに、屋根の内側に入った水が野地板や垂木を伝って下りてきたとき、外に抜ける最初の出口になります。
だから、屋根材の下で起きている雨漏りは、室内の天井にしみが出るより先に軒天の塗膜が膨れたり剥がれたりすることがあります。逆に言うと、軒天が剥がれている家は、屋根材の下にある防水シート(ルーフィング)が寿命を過ぎている可能性があります。ルーフィングは屋根材より先に切れる部材で、築30年前後で交換時期を迎えるとされています。屋根材の表面がまだきれいでも、その下は別物です。
外壁が1件しか出てこなかったのも、この順番で説明がつきます。外壁からの浸水はサッシまわりやシーリングの切れが原因で、写真では室内側の壁のしみとして写ります。今回の13件は室内の天井と軒天に集中していたので、入口が上(屋根まわり)だったということになります。
築年数が古いほど危険度は上がりましたか?
結論: 危険度の平均は30年以上が8.1、20〜30年の4件が8.5、築年数の記載がない46件が7.7でした。大きな差はありません。ただし13件は全件が「現地調査」の推奨になりました。
| 区分 | 件数 | 危険度の平均(10点満点) | 概算費用の平均 | 保険適用の可能性「高」 |
|---|---|---|---|---|
| 築30年以上 | 13 | 8.1 | 13万〜45万円 | 10件 |
| 築20〜30年 | 4 | 8.5 | 15.5万〜57.5万円 | 4件 |
| 築年数の記載なし | 46 | 7.7 | 19万〜55万円 | 21件 |
意外に見えるかもしれませんが、築30年以上の概算費用は他より低めに出ています。写真AIは写っている損傷の範囲から概算を出すので、築年数そのものは金額に強く効いていません。「古いから高くつく」とは限らない、という程度に読んでください。
はっきりしているのは推奨プランのほうです。13件すべてで「現地調査」が推奨になりました。写真だけで工事内容を決められた家は1件もない、ということです。雨漏りの費用の目安は見積もりチェックAIの雨漏り修理の相場ページにまとめてあります。
この数字の限界はどこですか?
結論: 築年数を答えたのは完了67件のうち21件だけで、残り46件は記載なしです。記載なしの群と割合を比べることはしていません。
正直に書いておきます。築年数の入力は必須ではないため、67件のうち21件しか回答がありません。その21件の内訳は、30年以上13件、20〜30年4件、不明2件、5年未満1件、20年以上1件です。記載なしの46件でも軒天が含まれるのは9件(約20%)ですが、これは「築年数を答えなかった人の群」であって「築年数が新しい家の群」ではないので、比較の相手にはできません。
もう一つ。この判定は送られた写真からAIが推定したもので、現地で屋根に上がって確認した結果ではありません。軒天が剥がれていても原因が屋根とは限らず、雨といの詰まりやベランダの防水切れが真犯人ということもあります。写真診断は「どこを先に見に行くか」を決めるための道具です。
自分の家で何を確認できますか?
結論: 晴れた日に家の四周を歩いて、軒天を下から見上げてください。しみ・膨れ・剥がれ・釘の錆び跡を探し、雨の翌日にもう一度同じ場所を見ます。
見るときの順番です。
- 家の四周を一周する。 北側と、隣家との隙間が狭い面は見落とされやすい場所です。スマホで軒天を撮っておくと、後で業者に見せられます。
- 色の変わり方を見る。 薄い輪郭がぼんやり広がっているものは、時間をかけて水が回っています。輪郭がはっきりしていて中心が濃いものは、最近入った水です。
- 雨の翌日に同じ場所を撮る。 前後で色が濃くなっていれば、いまも水が入っています。晴れが続いても濃いままなら、内部に水が溜まっているか、以前の跡です。
- やってはいけないこと。 軒天を自分で剥がして中を見るのは避けてください。断熱材や配線が入っていることがあり、剥がすと雨水の通り道が増えます。屋根に上がるのも同じです。転落の損害のほうが雨漏りより大きくなります。
軒天のしみが2回の雨で濃くなったなら、屋根まわりの調査に進む段階です。当社は足場を組まずにドローンとロープアクセスで高所を確認しています(現地点検の内容・料金)。屋根とドローンを使った点検の実例はドローン工務店のサイトにも載せています。
よくある質問
Q. 軒天が剥がれていますが、室内には何も出ていません。急ぎますか?
室内に出ていない段階なら、その日のうちに工事が要る状態ではないことが多いです。ただ、今回の13件はいずれも室内の天井にしみが出た状態で相談が来ています。軒天だけの段階で見つけたなら、屋根の下地が濡れきる前に手を打てる時期です。雨を2回待って、写真を比べてから相談してください。
Q. 軒天の塗り替えだけで直りますか?
軒天の塗装は仕上げの補修で、水の入口をふさぐ工事ではありません。入口が屋根材の下や板金の継ぎ目にある場合、塗り替えても同じ場所がまた剥がれます。「軒天塗装一式」だけの見積が出てきたら、原因をどこと判断したのかを先に聞いてください。
Q. 築30年なら、屋根を全部葺き替えたほうが早いですか?
原因が特定できていない段階での全面葺き替えは、金額が大きいわりに止まらないことがあります。当社の診断では13件全件が「現地調査」の推奨でした。まず入口を特定して、部分補修で足りるか、下地まで替える必要があるかを分けるのが順番です。
出典・集計の前提
- 当社の写真AI診断(aiamamori.com)で2026年1月28日〜9月7日に完了した67件のうち、築年数「30年以上」と回答した13件(2026年3月21日〜6月10日)を集計。被害箇所・危険度・概算費用・保険適用の可能性・推奨プランは診断記録より。個人が特定できる情報は含めていません。
- 判定は写真からのAI推定であり、保険会社の査定や現地調査の結果ではありません。
執筆: 株式会社ドローン工務店(大阪市・建設業許可 大阪府知事許可)