火災保険が使える雨漏り、使えない雨漏り。写真診断65件のうち36件が「可能性高」だった理由
著者:株式会社ドローン工務店
「この雨漏り、保険で直せますか」は、現地点検で最初に聞かれる質問の一つです。当社の写真AI診断では、写真から火災保険の適用可能性を「高・中・低・なし」で推定しています。2026年1月28日から6月10日までに完了した65件を集計すると、「高」が36件、「中」が18件でした。
先に結論を書くと、この36件という数字は「保険が下りる雨漏りが半分以上ある」という意味ではありません。写真AIは損傷が大きいほど「高」を出す傾向があり、保険の可否を決める「原因が風災かどうか」は写真だけでは判定できないからです。
写真診断65件の保険判定はどう分かれましたか?
結論: 「高」36件・「中」18件・「低」1件・「なし」1件・判定なし9件でした。
| 写真AIの保険適用の可能性 | 件数(65件中) | 危険度の平均(10点満点) | 概算費用の中央値 |
|---|---|---|---|
| 高 | 36 | 8.4 | 15万〜50万円 |
| 中 | 18 | 7.3 | 12万〜40万円 |
| 低 | 1 | 3.0 | 5万〜15万円 |
| なし | 1 | 0 | 0円 |
| 判定なし(写真から推定不能) | 9 | 記録なし | 記録なし |
判定は写真AIの推定で、保険会社の査定ではありません。同じ家の写真が繰り返し送られた件も含みます。その前提で読んでください。
なぜ36件も「高」になったのですか?
結論: 「高」の36件は全件が危険度8以上で、天井の被害も36件全部に含まれていました。AIは損傷の大きさを見て「高」を出しています。
内訳を見ると、「高」36件は危険度スコアが全て8以上、被害箇所に「天井」が含まれるのも36件中36件、「屋根」が24件、「軒天」が17件です。一方「中」18件は危険度8以上が9件、天井が14件、外壁が8件でした。外壁の被害が多いほど「中」に寄っています。
つまり写真AIの「高」は、「天井が落ちかけている」「屋根の被害が写っている」といった損傷の激しさを、風災の可能性として読み替えた結果です。損傷が激しい家ほど台風で壊れた可能性はあります。ただ、築30年を過ぎて屋根が傷んだ末に大雨で一気に漏れた家も、写真では同じように激しく見えます。
築年数の記録がある「高」17件のうち、30年以上が10件、20〜30年が4件でした。古い家ほど経年劣化と判断される余地が大きいので、「高」と出ても申請が通るとは限りません。
保険が使える雨漏りの条件は何ですか?
結論: 原因が風災・雹災・雪災であることとされています。時間の経過による劣化、施工不良、雨樋の詰まりなど維持管理の不足は対象外とされています。
損害保険会社の説明(チューリッヒ保険会社「雨漏りは火災保険で補償を受けられるのか」・2026年9月9日閲覧)では、火災保険で雨漏りが補償されるのは風災・雹災・雪災によって屋根などが破損し、その結果として雨漏りが生じた場合に限られるとされています。バルコニーの老朽化のような経年劣化、屋根修理時の施工不良、樋の詰まりや排水管の不具合による雨漏りは補償されないとされています。
また、保険金を請求できる期限は損害発生から3年とされており、契約で免責金額(自己負担額)が設定されている場合は、修理費からその額を引いた分が保険金になるとされています。修理費が免責金額を下回れば、申請しても受け取れる額はありません。
保険の可否を分けるのは損傷の大きさではなく「いつ・何が原因で壊れたか」です。台風の翌日から漏れ始めたのか、数年前から少しずつ広がっていたのかで、同じ写真でも結論が変わります。
申請の前に何を揃えればいいですか?
結論: 「漏れ始めた日と当日の天気」「壊れた場所の写真」「原因を書いた点検の記録」の3つです。
- 漏れ始めた日を記録する。台風や強風の日と一致するなら、気象庁の過去の気象データでその日の最大瞬間風速を控えておく
- 室内のしみだけでなく、屋根や外壁の壊れた場所の写真を撮る。地上からで構わない
- 点検した業者に「原因は何か」「いつ壊れたと考えられるか」を書面で出してもらう
当社の現地点検では、足場を組まずにドローンと赤外線で屋根と外壁を確認し、原因と工事範囲を書いた診断レポートを出しています。保険の申請をお客様が判断する材料として使えるように、風災の可能性がある場合はその根拠を、経年劣化と考えられる場合はそのことを、そのまま書きます。「保険で0円になります」という前提で工事を勧めることはしません(料金)。
修理費の目安は雨漏り修理の費用相場(見積もりチェックAI)にまとめています。免責金額と比べる材料にしてください。
「保険で無料で直せます」と言われたら?
結論: 保険金が下りるかどうかは保険会社が決めるので、工事の前に「無料」と言い切る業者の話は、その場で契約しないでください。
台風のあとに「保険を使えば自己負担なしで屋根を直せる」と訪問する業者がいます。国民生活センターは2021年9月2日の発表で、「保険金が出なければ負担はない」と言われて契約したが保険会社には支払いが難しいと言われていた例や、解約を申し出たら断られた例を挙げ、保険金の請求は加入者自身で行えるとして安易に契約しないよう呼びかけています。認定額は保険会社の査定次第で、工事契約を先に結ぶと、下りなかった分は自己負担になります。
当社の写真診断で「高」と出た場合も、それは「風災の可能性を確認する価値がある」という意味で受け取ってください。申請するかどうかは、原因の記録を揃えてから判断すれば間に合います。
よくある質問
Q. 写真診断で「高」と出ました。保険は下りますか? A. 分かりません。「高」は損傷の激しさを反映した推定で、保険の可否は原因が風災かどうかで決まります。漏れ始めた日と天気の記録、壊れた場所の写真、原因を書いた点検記録を揃えてから、保険会社か代理店に確認してください。
Q. 築35年の家です。古いと保険は使えませんか? A. 保険会社の説明に築年数そのものの条件は書かれていませんが、劣化が進んだ屋根は「経年劣化」と判断される余地が大きくなります。台風の当日に飛んだ板金など、壊れた日と原因がはっきりしている部分は、古い家でも風災として扱われることがあります。
Q. 漏れ始めてから2年経っています。まだ申請できますか? A. 請求の期限は損害発生から3年とされています。ただし時間が経つほど原因の証明は難しくなるので、記録があるうちに点検を受けてください。
出典: 当社写真AI診断の記録(2026年1月28日〜6月10日・完了65件・個人情報は含まない集計)/チューリッヒ保険会社「雨漏りは火災保険で補償を受けられるのか」 https://www.zurich.co.jp/fire/guide/rain-leak/ (2026年9月9日閲覧)/国民生活センター「保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!」2021年9月2日 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20210902_2.html
関連: 写真診断65件でいちばん多かった雨漏りの出どころ/雨漏り修理の費用相場(見積もりチェックAI)/株式会社ドローン工務店
執筆: 株式会社ドローン工務店(大阪市旭区・建設業許可 大阪府知事許可)